REIKIKAKU

イベント1

mac machine

DETAIL 「言葉では伝えきれないものを届ける絵」

イラストレーター

ちよやあいみさん メッセージ

2010年の12月、体中が痺れるくらい寒い、冬のヒースロー空港にいました。それからの1年間、かねてからしたかったイラストの勉強をするためイギリス南西部の美術学校に滞在しました。

AUCBに短期で留学した私は、日本とは違う環境でたくさんのことを学びました。複数のマテリアルを活かした表現方法や、自分の得意な画法をあえて禁止すること、クラスメイト達とzinと呼ばれる雑誌を編集すること。中でも驚いたのは、学生達が自分の作品について発表する時間でした。みんなどういう意図で作品を制作したのか堂々と、余す所なく表現していました。自分の作品について話すことが恥ずかしいと感じていた当時の私にとっては、この授業はとても刺激的な時間でした。

このイギリスの経験から作ったものに対して十分に表現するために、コミュニケーションをとることの大切さを感じました。日本にはたくさんの素晴らしいものが溢れていて、街を見渡せば作り手の方々の情熱を感じるクオリティの高い商品ばかりが並んでいます。ただ、そのものの魅力を伝えるということに関しては迷いを感じている作り手さんや、メーカーの方々もいるのでは、と感じています。

私の仕事は絵を描くことですがビジュアルを通して商品やイベントの良さを最大限に引き出すことを目的にしています。クライアントさんの思いに寄り添いながら「魅せる」という視点を大切にどんな風に表現したらそのものの良さが伝わるのか一緒に考えていきたいと思っています。

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言葉より先に、お客様の目に入るイベントポスターはブランドにとってとても重要なものです。

ちよやさんにはそんなポスターを描いていただいています。 芸術の世界は正解不正解がありません。だからこそ面白く、とても難しい分野でもあります。 わたしの中のまだ形になっていないとても漠然としたイメージを、ちよやさんは親身になってくみ取ってくれました。ただわたしのイメージを形にするのではなく、ちよやさんの感性によってそれはそれはとても素敵な作品に仕上がっていくのです。

ちよやさんは、小さい女の子のお母さんでもあります。これまで子育てをしながら働く女性をたくさん見てきましたが、子育てをしながら働くことのむずかしさは私の想像をはるかに超えていました。今の日本には、働きながら子育てをする環境がまだまだ整っていません。私はそんな彼女たちのような女性の力になっていける仕事をしたいと思っています。

とても穏やかで優しい雰囲気の彼女ですが、ここまでくるのに相当な努力と覚悟があったと思います。好きなことを仕事にするということは、自分のプライドや信念を捨てざるおえないこともあるからです。

そんな覚悟をもって仕事をする1人の芸術家として、働く女性として、私は彼女を応援したいと思います。 芸術というのは自分の体験や経験が何よりも糧になっていくものです。家族を持つという一つの大きな経験によって、ちよやさんの作品が今後どう変化していくのか、個人的にとても楽しみです。