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特集企画

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DETAIL HUG the world セブ島×クリエイター×大学生

2016年秋、都内ファッションビルでハンドメイド作家の新しいイベントが開催されました。

ほぼすべてのハンドメイド作家さんにセブ島パールを使用したアクセサリーを作っていただき、販売を行ったのです。

このパールアクセサリーが店頭に並ぶまでに、様々なドラマがありました。

これは、その中心となった女子大生をはじめ、このものづくりに協力してくださった多くの方々のお話です。


『ものづくりを知ってもらいたい』

そもそも、この企画は、セブ島のバジャウ族という民族が採集するパールを、日本のハンドメイド作家さんに使用してもらい、可愛いアクセサリーをお客様に提案しよう!という内容のものです。

なぜバジャウ族?

まずはそう思うのではないでしょうか。

遡ること半年前

お世話になっていた大学生の紹介で、女子大生の鹿島さんと出会いました。

彼女は大学四年生のごくごく一般的な可愛らしい大学生でした。

彼女は国際支援活動を行う学生団体に所属しており、セブ島での支援活動や、カンボジアで半年間ボランティア活動を行うなど、途上国に対しての思いが人一倍強い子だったのです。

そんな彼女はこう私に言いました。

「バジャウ族のパールを日本で売りたいと思ってる、パールを通してバジャウ族のことを多くの人に知ってもらいたい」

バジャウ族、耳慣れない言葉です。

バジャウ族とは

●セブ島に古くから住む民族である

●大半の仕事を漁業で賄っている

●海の上で生活をしており、戸籍は持たない

●内陸に住むフィリピン人から差別をうけている

●都市開発や、環境汚染により住む場所が失われつつある

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「でも、バジャウ族って素敵な民族なんです」

一度セブ島で彼らと交流したときに、彼らの人懐っこさ、優しさに触れ、心からそう思っているようでした。

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人懐っこさが伝わってくるとても素敵な笑顔。

そんな彼らのことを知ってもらいたい言う気持ちと同時に、彼女にはこんな思いがありました。

「ものづくりについて、もっと消費者に知ってもらいたい」

鹿嶋さんはあるひとつの映画を見て、ものの見方が大きく変わったのだそう。

ファストファッションの一部には、途上国の人々を低賃金で雇っているところもある。

そのことを多くの人に知ってもらいたい。

購買意識を変えるきっかけを、このパールアクセサリーのものづくりのストーリーを表現することで伝えていきたい。

この彼女の強い思いはとても印象的で、共感したのを覚えています。

ひとつひとつ、人の手で作られたものって、人の思いが込められたものって、なぜだかとっても魅力的なんです。

この2年半、様々な職人さんやデザイナーさん、ハンドメイド作家さん、ものづくりに関わる多くの人に出会って私が一番強く感じることでした。

そんな私たち2人で、このプロジェクトはスタートしたのです。

さて、長々とつらつらと書いてきましたが、こんなのはまだ序章にすぎません。

まだまだ続きます。


『パールが繋いだ共感の輪』

鹿島さんにとって一番重要な役割がありました。

「バジャウ族のパールの仕入れ」

店頭で販売するとなったら、それだけのパールが必要になってきます。しかも、準備期間があまりありません。

9月にすでに展開が決まっていたので、各作家さんのことを考えると最低一ヶ月は制作時間が必要でした。

しかしながら、既に梅雨明け間近の7月中旬。

もしパールが手に入らなかったら?もし間に合わなかったら?

不安が募ります。

もちろんバジャウ族にはパールを大量に出荷する習慣はありません。そんな中、鹿島さんはバジャウ族と共に暮らす日本人の男性とのコンタクトに成功しました。

20歳そこそこの彼は、鹿島さん同様バジャウ族に興味を持ち、彼らと共に生活を送っています。

そんな彼とのやりとりを通じて、8月上旬、やっとのことでパールを仕入れることができました。

丁度同時期に、鹿島さんや私にとって、心強い仲間がまたひとり増えました。

鹿島さんの想いに共感した女子大生の杉山さん。今時女子なかわいい彼女は忙しいながらもこのプロジェクトに参加をしてくれたのです。

せっかくだから、自分たちで新たな学生団体を作って活動していこうとのことで、『学生団体リリアン』が立ち上がりました。

さあいざパールを拝見です。

約千粒ほどのパールを一粒一粒確認していきました。

しかし、、、、

粒は不揃い、渦をまいている、形もいびつ、、、、

LapidarioのオーナーのSergio Otsukaさんにもさまざまなアドバイスをもらいながらパールの選別を行います。

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私の目で見た範囲だと、正直使えそうなパールは3割ほどでした。

いやいやこの時は悩みました。

このパールを作家さんにお渡しして大丈夫だろうか、というかお客様は受け入れてくれるだろうか、これじゃあただのボランティアになってしまうかもしれない、そもそも、これに何万円という金額をかけていいのだろうか。

悩みに悩み、とりあえず作家さんの意見を聞いてまわることにしました。

9月に出店予定の作家さんにひとりひとりお会いし、直接お話をしました。

すると、意外な反応が返ってきたのです。

「不揃いなのがなんだか可愛いよ」

「ちょっとくらいの渦だったらデザイン次第でどうにでもなるよ」

「個性があっておもしろいパールだね」

目からウロコでした。

ものづくりをする人の目ってどんなものにも可能性を見出すことが出来るのです。

ですが、作家さんたちの協力を得られた理由はこれだけではありません。

鹿島さんや杉山さんの強い思いにみなさんが共感してくれたのです。

はじめは味方なんで全くいませんでした。しかし、ひとり、またひとりと、協力してくれる人が現れ、気づけば多くの人に支えられていたのです。

絶対に成功させたい。

以前にも増して強く思いました。


『バジャウ族にピアスを届けて』

鹿島さんは9月上旬、セブ島のバジャウ族に会うためにフィリピンに向かいました。

作家さんのパールピアスをバジャウ族に届けることが、目的のひとつでした。

実際に彼らに会い、ピアスをプレゼントしました。

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この笑顔からもわかるように、とても、とても喜んでくれたそう。

普段はただパールをつなげたシンプルなものしか作っていない彼らです。作家さんの手によって可愛くアレンジされたアクセサリーは新鮮だったに違いありません。

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日本人が自分たちのとったパールを身につけてくれる、どっかでだれかの役に立てる。

そう感じてもらうことで、少しでも彼らの生活のモチベーションになることを私たちは望んでいました。

パールの採取にやりがいを感じてもらえれば、彼らにとって仕事の可能性はどんどん広がっていくのです。

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『パールアクセサリー、お客様と出会う』

紆余曲折あったものの、無事イベントをスタートさせることができました。

このイベントにむけて、リーフトレットを作りました。

さあデザインはどうする。予算も時間もない中、鹿島さんの知り合いに、イラストを描ける男の子がいました。

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実はこのページのイラストはその彼に作ってもらいました。

彼と実際にお話ししましたが、鹿島さんの想いを聞いて、やるしかないとおもったそうです。短時間で最高のものを作ってくれた彼には心から感謝しています。

そして、この表紙はプロのイラストレーター、ちよやあいみさんに描いていただきました。ちよやさんも、このプロジェクトの想いに共感をしてくださり、忙しいながらも協力してくれたのです。

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そして売場ではというと。

彼女たちも売場に立ち、お客様に直接説明することで、リアルな反応を知ることができました。

多くの人にパールアクセサリーを受け入れてもらうことができ、初めてのイベントとしてはよかったと思っています。

ですが、課題も多く見えてきました。

痛切に感じたことがひとつ。

「お客様がどこまでこのパールアクセサリーに共感してくれているのか。」

かわいい、という理由で購入された方が大多数だと思います。

バジャウ族のプロジェクトについてのやリーフレットなど、実際に読んでくれている方は少ないように思えました。

どうしたら読んでくれるのか。

どうしたら私たちのメッセージが伝わるのだろうか。

次に学生団体ができることはなんだろう。

一緒に考えていく中でひとつのアイディアが生まれました。


『女子大生がつくる、アクセ美人の物語』

鹿島さんと杉山さんは、女子大生モデル、女子大生カメラマンを集めました。

パールプロジェクトに参加してくれているブランドの商品を使って人の目を引くポスターを作れば、自ずとパールプロジェクトに注目してくれるのではないだろうか。

多くのお客様に共感してもらえるようなポスター作りに取り掛かりました。

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授業の合間を縫って、彼女たちはピアスをどのようにお客様に提案するか試行錯誤をし、撮影を行ってくれました。

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この完成形はこちらで見ることが出来ます!!

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この半年間、実を言うと様々なトラブルがありました。

その度に、鹿島さんや杉山さんはものすごい重圧や責任を感じていたと思います。私もキツイことを何度も言いました。その度に、きっとつらい思いもしたてたはずです。それでも諦めずに試行錯誤し、ひとつ成し遂げた彼女はとても立派だと思います。

今後の彼女たちにはもっともっと飛躍してほしい、自分の人生の中に私はこれをやりました、と胸を張って言えるものを作って欲しい、そして誰かに必要とされる社会人になってくれることを期待しています。

そして、これに終わらず、彼女たちともっともっと多くの共感を作っていきたいと思います。

今ではハンドメイド作家さんと個別にコンタクトをとり、ひとりひとりの作家さんにインタビューを行い、Facebookにて記事の更新を行っています。

鹿島さんも杉山さんも文章がとてもすばらしい。

本当に大学生がかいてるの?と疑ってしまうほど素敵な読み物になっています。

コチラからFacebook⇒に飛べますのでぜひご覧ください!

ちょっとしたスキマ時間の読み物にはもってこいです。

長くなりましたが、これがこの半年の間の出来事です。

この先には、「つづき」がどんどん増えていくことでしょう。

そのつづきをリアルタイムで観たい方は、ぜひこちらのサイトをご覧ください!

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それではまたの更新をお楽しみに!